2016/12/07

《大漢和辞典》第七巻中の難字3

【𤓵】【𤔈】【𤔉】【𤔋】【𤔙】 【𤔚】【𤔝】【𤔟】【𤔶】【𤕁】
【𤕄】【𤕇】【𤕊】【𤕒】【𤕿】 【𤖀】【𤖒】【𤖵】【𤖿】【𤗃】
【𤗓】【𤗞】【𤗾】【𤘆】【𤘇】 【𤘊】




【𤓵】19659 ソ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤓵、音祖。
《篇海》卷十一《爪部》引《搜眞玉鏡》 (426b)
  𤓵,音祖。
 「𤓵」は「祖」の伝抄古文「𤔈」が変化した字である。《叢考》(633)、《考正》(220)参照。

【𤔈】19677 ソ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𤔈、音祖。
《龍龕》卷二《爪部》上聲 (331)
  𤔈,音祖。
 「𤔈」は「祖」の篆書を楷書化した字である。《古文四聲韻》上聲《姥韻》“祖”引《籀韻》「𤔈」(40a)とある。またP.3315《尚書釋文・舜典》「[⿰文勿]𤔈:古“文祖”字。古示邊多作爪。後放此。」とある。

【𤔉】19678 ハウ・ハ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𤔉、音包、又音把。
《龍龕》卷二《爪部》平聲 (330)
  𤔉,蒲交反,又音把。𤔉[⿰爪日],同上。
 「蒲交反」の「𤔉」は「匏」の換形旁異体字「瓟」が変化した字である。《集韻》平聲《爻韻》蒲交切「匏瓟包苞,《說文》:“匏[瓠]也。从包,取其可包藏物。或从𤓰。亦作“包、苞”。」(187)、「𤔉」「瓟」は同音である。《龍龕》卷二《爪部》平聲「爮,蒲交反,似瓠可為飲噐也。又音雹,𤓰―也。」(330)、「爮」は「瓟」の「瓜」が近形の「爪」に換わった字である。「𤔉」はおそらく「爮」の「包」が「田」に変化した字と思われる。
 「音把」の「𤔉」は「爬」が変化した字である。《廣韻》平聲《麻韻》蒲巴切「爬,搔也。或作“把”。又姓,本杞東樓公之後,避難改焉,西魏襄州刺史把秀。蒲巴切。三。」(169)、「𤔉」「爬」は近形同音である。

【𤔋】19679 キヨ 義未詳 〔五音篇海〕𤔋、音巨。
《龍龕》卷二《爪部》去聲 (331)
  𤔋,音訓。
《篇海》卷十一《爪部》引《搜眞玉鏡》 (426b)
  𤔋,音巨。
 待考。

【𤔙】19689 サ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𤔙、疎瓦切、又初瓦切。
《龍龕》卷二《爪部》去聲 (331)
  𤔙,踈瓦、𥘉瓦二反。
 待考。

【𤔚】19690 ジヤウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤔚、音上。
《篇海》卷十一《爪部》引《搜眞玉鏡》 (426b)
  𤔚,音上。
 待考。

【𤔝】19692 ラ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤔝、力果切。
《篇海》卷十一《爪部》引《搜眞玉鏡》 (426b)
  𤔝,力果切。
 「𤔝」は「夥」の異体字である。《龍龕》卷二《果部》「夥,胡果反。楚人云多。又五果反。[⿰果𠂬][⿰𢀴果],五果反。又同上。二。」(342)、「⿰果𠂬」は「夥」の旁を近音の「𠂬(厄)」に換えた字である。同「𤔖[⿰果𠨿]𣜢,郎果、胡果二反。二。」(342)、同卷一《瓜部》上聲「[⿰果⿸𠂆𤓰]𤬁,二俗。胡果反。」(195)、「𤔖」「⿰果𠨿」「⿰果⿸𠂆𤓰」「𤬁」は「⿰果𠂬」の「𠂬(厄)」が近形の「爪」「𠨿」「瓜」等に換わった字である。「𤔝」は「𤔖」の「果」が近形の「禺」に換わった字である。《考釋》(473)参照。

【𤔟】19694 フン 義未詳 〔龍龕手鑑〕𤔟、音分。
《龍龕》卷二《爪部》去聲 (331)
  𤔟,《經音義》作“分布”二字。呼。
 「𤔟」はおそらく「分布」の合文「⿰布分」が変化した字である。《玄應音義》卷七《伅真陁羅所問經》音義「𤔟其:此字習誤已久,冝作“分布”二,謂以黄金分布間錯其間也。」(156a)、《慧琳音義》卷三十所録玄應《伅真陀羅所問經》音義「[⿰⿱文巾爪]其:此字習誤已久。宜作“分布”二字。謂以黃金分布間錯其間也。」(1030b)、後漢・支婁迦讖譯《佛說伅真陀羅所問如來三昧經》卷中「其地牆壁紺琉璃色,以天金分布其間,無央數寶以雜廁其中,悉具諸床座,其足者悉名寶。」(T15,p0355b)とある。《叢考》(637)、《龍龕研究》(278)参照。
 また《可洪音義》卷五《伅真陁羅所問經》中卷音義「飾其:上尸力反,装鉸以寶鈕物也。亦作“餝”也。《經音義》并“[⿰⿱又巾爪]”以“分布”二字替之非也。」(59/724b)、可洪は「飾」が変化した字とする。

【𤔶】19710 タウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤔶、音當。
《篇海》卷十一《爪部》引《搜眞玉鏡》 (426b)
  𤔶,音當。
 「𤔶」は「㼕」の異体字である。《廣韻》平聲《唐韻》都郎切「㼕,㼕瓤,𤓰中。」(180)、「𤔶」「㼕」は同音である。《名義》卷十五《瓜部》「[⿰當爪],丁即[郎]反。【~】瓤,𤓰中。」(146b)、「⿰當爪」は「㼕」の「瓜」が近形の「爪」に換わった字である。「𤔶」は「⿰當爪」の動用異体字と考えられる。《考釋》(474)参照。

【𤕁】19714 音義未詳 〔字彙補〕𤕁、音未詳、見穆天子傳。
《字彙補》未集《缶部》補字 (623a)
  𤕁,出《𥠇天子傳》。音未詳。
 待考。

【𤕄】19716 シヤウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤕄、音掌。
《篇海》卷十一《爪部》引《搜眞玉鏡》 (426b)
  𤕄,音掌。
 待考。

【𤕇】19717 シウ・タ 義未詳 〔海篇〕𤕇、音叟、又音妥。
《篇海》卷一《雜部》平聲 (260b)
  𤕇,叟、妥二音。
 待考。

【𤕊】19719 シン 義未詳 〔龍龕手鑑〕𤕊、音神。
《龍龕》卷二《爪部》平聲 (330)
  〾𤕊,音神。
 「𤕊」はおそらく「神」の伝抄古文が変化した字である。《古文四聲韻》平聲“神”字引《崔希裕纂古》「𥛠」(16a)、《集韻》平聲《眞韻》乗人切「神𥙍𥛠,乗人切。《說文》:“天神引出萬物者也。”古作“𥙍、𥛠”。又姓。文六。」(117)、「𥛠」は「神」の旁を近音の「旬」「且」に換えた字(の篆書を楷書化した字)である(参《古文研究》(712))。《篇海》卷十一《爪部》引《搜眞玉鏡》「[⿱⿰爪昍𪠋],音神。」(426b)、同卷十二《示部》二十畫引《龍龕》「𥜩,音神。」(463a)、「⿱⿰爪昍𪠋」「𥜩」は「神」に近音の「且」を加えた字(の篆書を楷書化した字)と思われる(上部は「𢑚(申)」の変形)。「𤕊」はこれらの字の旁が近形の「舋」に換わった字だと思われる。《叢考》(640)参照。

【𤕒】19726 カ 義未詳 〔篇海類篇〕𤕒、古我切、音哿。
《新修玉篇》卷三《父部》引《類篇》 (28b)
  𤕒,古我切。
《篇海》卷八《父部》引《龍龕》 (391a) ※正德本、萬曆本では“俗字背篇”
  𤕒,古我切。
 「𤕒」は「哥」の会意異体字である。

【𤕿】19780 エウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤕿、余嬌切。
《篇海》卷十一《牀部》引《搜眞玉鏡》 (431c) ※正德本、萬曆本では《龍龕》
  𤕿,余嬌切。
 「𤕿」は「𤕷」が変化した字である。《集韻》上聲《小韻》以紹切「𤕷,牀板。」(395)、「𤕿」「𤕷」は同音である。《干祿字書》上聲「𡉵兆:上通,下正。」(41)、「兆」はまた「𡉵」に作る。「𤕿」は「𤕷」の「兆」が「𡉵」に変化した字である。

【𤖀】19781 ホウ 義未詳 〔篇海類篇〕𤖀、音峰。
《篇海》卷十一《牀部》引《搜眞玉鏡》 (431c) ※正德本、萬曆本では《餘文》
  𤖀,音峯。
 「𤖀」は「㸼」が変化した字である。《玉篇》卷二十三《牛部》「㸼,音峯。牛也。」(429)、「𤖀」「㸼」は同音である。《廣碑别字》八畫“牧”字引《唐・玄武丞楊仁芳墓誌》「⿰爿攵」(110)、同九畫“牲”字引《唐・馬君起墓誌》「⿰爿生」(153)、同十畫“特”字引《唐・翊府中郎将李懐墓誌》「⿰爿寺」(204)、近形の「牜」「爿」はしばしば換旁される。「𤖀」は「㸼」の「牜」が近形の「爿」に換わった字である。

【𤖒】19795 テフ 義未詳 〔篇海類篇〕𤖒、音牃。
《篇海》卷十一《牀部》引《搜眞玉鏡》 (431c) ※正德本、萬曆本では《餘文》
  𤖒,徒葉切。
 「𤖒」は「牃」が変化した字である。《廣韻》入聲《怗韻》徒協切「牃,牀版。」(541)、「𤖒」「牃」は近音である。《玉篇》《廣韻》《集韻》等、「枼」は一般に「⿱丗木」に作る。《玉篇》卷十二《叒部「桑,思郎切。蠶所食葉。俗作“桒”。」(247)、「桑」はまた「桒」に作る。「𤖒」は「牃」の旁が近形の「桒」に換わった字「⿰爿桒」の「桒」を「桑」に換えた字である。《叢考》(716)参照。

【𤖵】19832 コウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤖵、音句。
《篇海》卷六《片部》引《搜眞玉鏡》 (354a)
  𤖵,音句。
  𤖮,音勾。
 「𤖵」「𤖮」はおそらく「𤖽」が変化した字である。「音句」は「音向」の誤り。《集韻》去聲《漾韻》許亮切「向𤖽,許𠅙切。《說文》:“北出牖也。”引《詩》:“塞向瑾戸。”或从片。向,一曰趣也,救也。」(599)、「𤖽」は「向」の加旁異体字である。《可洪音義》卷十三《箭喻經》音義「一句:許亮反,正作“向”。」(59/1039c)、同卷二十三《經律異相》第二十一卷音義「勾於:上許亮反,正作“向”。又鈎、搆二音,非也。」(60/270c)、「向」はまた「句」「勾」に作る。「𤖵」「𤖮」は「𤖽」の旁が近形の「句」「勾」に変化した字だと思われる。
《考釋》(465)参照。

【𤖿】19841 ヘキ 義未詳 〔龍龕手鑑〕𤖿、普覓切。
《龍龕》卷三《片部》入聲 (362)
  𤖿,普覓反。
 「𤖿」は「劈」の異体字である。《集韻》入聲《錫韻》匹歷切「劈,《說文》:“破也。”」(749)、「𤖿」「劈」は同音である。同《麥韻》匹麥切「𤖼劈,分也。或作“劈”。」(738)、「劈」はまた「𤖼」に作る。「𤖿」は「𤖼」が変化した字である。《考釋》(466)参照。

【𤗃】19847 ユ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤗃、羊父切。
《篇海》卷六《片部》引《搜眞玉鏡》 (354a)
  𤗃,羊父切。
  「𤗃」はおそらく「牖」の減画異体字である。《廣韻》上聲《有韻》與久切「牖,道也,向也。《說文》曰:“牖,穿壁以木爲交䆫也。”《禮》曰:“蓽門閨竇,蓬戸甕牖。”」(324)、「羊父切」は「羊久切」の誤りと思われる。《考釋》(467)参照。

【𤗓】19861 シヨウ 義未詳 〔奚韻〕𤗓、音承。
《新修玉篇》卷二十九《片部》引《隂祐餘文》 (233)
  𤗓,音承。
《篇海》卷六《片部》引《奚韻》 (354a)
  𤗓,音承。
 「𤗓」は「劈」の異体字である。「音承」は望形生音。《集韻》入聲《麥韻》匹麥切「𤖼劈,分也。或作“劈”。」(738)、「劈」はまた「𤖼」に作る。同莫獲切「𧖴脈脉,《說文》:血理分衺行體者。”或从肉。亦作脉。」「眽眿,《說文》:“目財視也。”或作“眽”。」(737)、「𠂢」旁はまた「永」に作る。《篇海》卷六《片部》引《搜眞玉鏡》「[⿰片永],拍、脉二音。」(354a)、《廣韻》入聲《陌韻》普伯切「𤖼,𤖼,破物也。」(511)、「⿰片永」「𤖼」は同音、「⿰片永」は「𤖼」の「𠂢」を「永」に換えた字である。《玉篇》卷二十九《片部》「𤖼,普麥切。或作“[⿱辟力]”。」(518)、《名義》卷二十九《片部》「[⿰片⿱䒑水],普革反。破也,削也,裂[也]。」(289b)、「⿰片⿱䒑水」は「⿰片永」が変化した字である。《篇海》卷六《片部》引《搜眞玉鏡》「[⿰片氶],音拍。」(354a)、「⿰片氶」は「⿰片永」「⿰片⿱䒑水」が変化した字である。「𤗓」は「⿰片永」「⿰片氶」が変化した字である。《考釋》(466)参照。

【𤗞】19874 テイ 義未詳 〔五音篇海〕𤗞、音亭。
《龍龕》卷三《片部》平聲 (361)
  𤗞[⿰〾片𠅘],音𠅘。二同。
 待考。また観智院本《名義抄》佛下末《片部》「𤗞𤗦,二俗“𠅘”字。」とある。

【𤗾】19902 タウ 義未詳 〔篇海類篇〕𤗾、音當。
《龍龕》卷三《片部》平聲 (361)
  𤗾,音當。
 待考。「𤗚」が変化した字か。また観智院本《名義抄》佛下末《片部》「𤗾,當,音車也。」とある。

【𤘆】19912 ガ 義未詳 〔字彙補〕𤘆、牛加切、音牙。
《篇海》卷一《雜部》平聲 (260a)
  𤘆,音牙字。
 「𤘆」は「𤘅」が変化した字である。《集韻》平聲《麻韻》牛加切「𤘅,吳人謂赤子曰孲𤘅。」(209)、「𤘆」「𤘅」は近形同音である。「𤘆」は「𤘅」の旁が偏に同化した字と考えられる。《叢考》(579)参照。

【𤘇】19913 タン 義未詳 〔篇海類篇〕𤘇、竹咸切、音詀。
《新修玉篇》卷五《牙部》引《類篇》 (51c)
  𤘇,竹咸切。
《篇海》卷三《牙部》引《類篇》 (300a)
  𤘇,竹咸切。
 待考。「詀」の異体字か。

【𤘊】19917 イ・テイ 義未詳 〔五音篇海〕𤘊、音夷、又音弟。
《篇海》卷三《牙部》引“俗字背篇” (300a)
  𤘊,夷、弟二音。
 待考。「夷」が変化した字か。

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