2016/12/09

《大漢和辞典》第七巻中の難字4

【𤘵】【𤘷】【𤘶】【𤙅】【𤙈】 【𤙇】【𤙋】【𤙎】【𤙩】【𤙾】
【𤙿】【𤚁】【𤚀】【𤙽】【𤚅】 【𤚤】【𤚢】【𤚡】【𤚟】【𤚚】
【𤚛】【𤚝】【𤚣】【𤛁】【𤛅】 【𤛄】【𤛀】【𤛝】【𤛖】【𤛚】
【𤛙】【𤛜】【犞】【𤛭】【𤛪】 【𤛷】【𤛸】【𤜊】【𤜓】【𤜕】
【𤜘】




【𤘵】19966 コク 義未詳 〔篇海〕𤘵、音斛。
《篇海》卷三《牛部》四畫引《搜真玉鏡》 (303a)
  𤘵,音斛。

 待考。「㪶」が変化した字か。

【𤘷】19967 ジユツ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤘷、音述。
《篇海》卷三《牛部》四畫引《搜真玉鏡》 (303a)
  𤘷,音廵。

 「𤘷」は「㸪」が変化した字である。《廣韻》平聲《諄韻》詳遵切「㸪,牛行遟。又音脣。」(108),「𤘷」「㸪」は近形同音である。

【𤘶】19968 チウ 義未詳 〔篇海〕𤘶、音丑。
《龍龕》卷一《牛部》平聲 (116)
  𤘶,俗。音丑。

 「𤘶」はおそらく「杽」が変化した字である。《廣韻》上聲《有韻》敕久切「杻,杻械。杽,古文。」(322)、「𤘶」「杽」は近形同音である。《叢考》(606)参照。

【𤙅】19994 ハイ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤙅、布外切。
《篇海》卷三《牛部》五畫引《搜真玉鏡》 (303b)
  𤙅,布外切。

 「𤙅」はおそらく「㸬」が変化した字である。《廣韻》去聲《泰韻》博蓋切「㸬,牛二歳也。《爾雅》云:“體長,㸬。”」(381)、「𤙅」「㸬」は近形同音である。《叢考》(606)参照。

【𤙈】19995 チツ 義未詳 〔篇海類篇〕𤙈、音秩。
《龍龕》卷一《牛部》入聲 (117)
  𤙈,俗。丑乙反。正作“抶”。

 「𤙈」は「抶」が変化した字である。《慧琳音義》卷三十八《無量門破魔陀羅尼經》音義「頞𤙈帝:上安割反。𤙈,音聽逸又[反]。古人翻訛,用字不切。」(1170a)対応経文:劉宋・功德直共玄暢譯《無量門破魔陀羅尼經》「摩陀隷(三十九)三(蘇暫反)摩遮隷(四十)致馱珊地(四十一)頞𤙈(宋本作“挨”,元、明本作“抶”)(㝹(宋本作“免”,元、明本作“充”)質反)帝(四十二)阿僧伽毘呵隷(四十三)阿僧伽尼呵隷(四十四)」(T19,p0689a)、宋・淨源述《原人論發微錄》卷一「後夢一婦人自稱黃氏,以棗一枚令吞之,覺後得噎疾,未愈,而復夢黃氏以計簽其兩手心,怒云:“憂𤙈(丑栗切,打也)我男女。”覺而生瘡,漸透於手而死矣。」(X58,p0724c)等に用例がある。《考正》(208)、《佛典疑難字研究》(207)参照。

【𤙇】19997 カフ 義未詳 〔篇海類篇〕𤙇、音匣。
《龍龕》卷一《牛部》入聲 (117)
  𤙇,俗。胡甲反。

 「𤙇」はおそらく「押」が変化した字である。《集韻》入聲《狎韻》轄甲切「押,撿押隱括也。顔師古說。」(788)、「𤙇」「押」は近形同音である。あるいは「柙」が変化した字かもしれない。

【𤙋】19998 キン 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤙋、輕近切。
《篇海》卷三《牛部》五畫引《搜真玉鏡》 (303b)
  𤙋,軽近切。

 「𤙋」は「牽」が変化した字である。「輕近切」はおそらく「輕延切」の誤り。《考正》(445)参照。

【𤙎】19999 タウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤙎、他高切。
《篇海》卷三《牛部》五畫引《搜真玉鏡》 (303b)
  𤙎,他髙切。

 「𤙎」は「𤘸」が変化した字である。《廣韻》平聲《豪韻》土刀切「𤘸,牛行遟皃。」(156)、「𤙎」「𤘸」は近形同音である。

【𤙩】20040 カイ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤙩、音介。
《篇海》卷三《牛部》六畫引《搜真玉鏡》 (303b)
  𤙩,音介。

 待考。

【𤙾】20066 ホン 義未詳 〔篇海類篇〕𤙾、音奔。
《篇海》卷三《牛部》六畫引《搜真玉鏡》 (303b)
  𤙾,布耕切。

 「𤙾」はおそらく「拼」が変化した字である。《廣韻》平聲《耕韻》北萌切「拼,《爾雅》云:“使也。”又:“從也。”」(189)、「𤙾」「拼」は近形同音である。またあるいは「𤘾」の換聲旁異体字かもしれない。

【𤙿】20067 ㊀ダ㊁ガク ㊀義未詳 〔篇海類篇〕𤙿、音惰。㊁㹊(7-20115)の俗字。〔正字通〕㹊、俗作𤙿。
《玉篇》卷二十三《牛部》 (429)
  𤙿,大果切。又音岳。

 待考。

【𤚁】20070 セン 義未詳 〔篇海〕𤚁、音然。
《龍龕》卷一《牛部》平聲 (115)
  𤙼,如延反。

 待考。

【𤚀】20071 サイ 義未詳 〔篇海〕𤚀、音采。
《篇海》卷三《牛部》八畫引《搜真玉鏡》 (303c)
  𤚀,音采。

 「𤚀」はおそらく「採」が変化した字である。《廣韻》上聲《海韻》倉宰切「采,事也。又取也。亦姓,《風俗通》云:“漢有度遼將軍采晧。”倉宰切。七。採,取也。俗。」(274)、「𤚀」「採」は近形同音である。《佛典疑難字研究》(209)参照。
 また「𤚀」は「𤖅(漿)」が変化した字である。東晋・瞿曇僧伽提婆譯《增壹阿含經》卷二十八「所以然者,我家中種粳米一根上生,收拾得一斛米,飯以甘蔗之漿(聖本作“𤚀”),極爲香美,今復於宮殿上雨七寶。」(T02,p0705a)に用例がある。《佛典疑難字研究》(208)参照。

【𤙽】20072 コウ 義未詳 〔篇海〕𤙽、音吼。
《新修玉篇》卷二十三《牛部》八畫引《類篇》 (190d)
  𤙽,音吼。
《篇海》卷三《牛部》八畫引《類篇》 (303c)
  𤙽,音吼。

 「𤙽」はおそらく「㸸」が変化した字である。《廣韻》上聲《厚韻》呼后切「㸸,夔牛子也。𤘽,同上。」(327)、「𤙽」「㸸(𤘽)」は近形同音である。《叢考》(608)参照。

【𤚅】20073 ボ 義未詳 〔篇海〕𤚅、音模。
《篇海》卷一《雜部》平聲 (260a)
  𤚅,莫枯切。

 待考。

【𤚤】20095 ビ 義未詳 〔篇海〕𤚤、音眉。
《龍龕》卷一《牛部》平聲 (115)
  [⿰牛⿸尸目],音眉。

 待考。

【𤚢】20096 テイ 義未詳 〔篇海〕𤚢、音蹄。
《龍龕》卷一《牛部》平聲 (114)
  𤚢,俗。音蹄。

 「𤚢」は「蹄」の会意異体字である。《叢考》(611)参照。

【𤚡】20098 ド 義未詳 〔篇海〕𤚡、音度。
《篇海》卷三《牛部》九畫引《搜真玉鏡》 (303d)
  𤚡,音度。

 待考。

【𤚟】20099 タウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤚟、徒勞切。
《篇海》卷三《牛部》九畫引《搜真玉鏡》 (303d)
  𤚟,徒勞切。

 「𤚟」はおそらく「特」の加旁異体字である。《廣韻》入聲《德韻》徒得切「特,特牛。又獨也。亦姓,《左傳》晉大夫特宫。徒得切。九。」(529)、「徒勞切」は「徒勒切」「徒艻切」等の誤り。

【𤚚】20100 ドク 義未詳 〔篇海〕𤚚、音毒。
《龍龕》卷一《牛部》入聲 (117)
  𤚚,音毒。

 待考。「犢」の換聲旁異体字か。

【𤚛】20101 メン 義未詳 〔篇海〕𤚛、音緬。
《龍龕》卷一《牛部》上聲 (116)
  𤚛,《舊蔵》作“緬”。

 待考。「緬」の換形旁異体字か。

【𤚝】20102 クワウ 義未詳 〔篇海〕𤚝、音皇。
《龍龕》卷一《牛部》上聲 (115)
  𤚝,俗。音皇。

 「𤚝」はおそらく「𤛥」の換聲旁異体字である。《集韻》平聲《唐韻》胡光切「𤛥,牛名。」(226)、「𤚝」「𤛥」は同音である。同「癀㾮,疸病也。或从皇。」「獚𤟡,《博雅》:“楚獚,犬屬。”或从皇。通作“黃”。」(225)、同「鱑鰉,魚名。或从皇。」(226)、声符「黃」「皇」はしばしば交替する。《梓舟船禪師襄陽檀溪語錄》卷三「日前太和居士許設齋供眾,求牛𤚝菩薩,果勝力充然。雖如是夜來,三更夢見一牯牛。」(J33,p0359a)に「𤚝」が牛の名前としての用例がある。《叢考》(611)、《佛典疑難字研究》(210)参照。

【𤚣】20103 セイ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤚣、音生。
《篇海》卷三《牛部》九畫引《搜真玉鏡》 (303d)
  𤚣,音生。

 待考。「㹌」が変化した字か。

【𤛁】20132 ヲン 義未詳 〔篇海〕𤛁、烏因切、音搵。
《龍龕》卷一《牛部》去聲 (117)
  𤛁,俗。烏困反。

 「𤛁」はおそらく「搵」が変化した字である。《廣韻》去聲《慁韻》烏困切「揾,烏困切。二。」(399)、「𤛁」「搵」は近形同音である。《叢考》(610)参照。

【𤛅】20134 チク 義未詳 〔五音篇海〕𤛅、丑六切。
《龍龕》卷一《牛部》入聲 (117)
  𤛅,丑六反。

 「𤛅」は「畜」の加旁異体字である。《可洪音義》卷十《佛說菩薩内戒經》音義「𤛅生:上丑救、丑六二反。正作“畜”。」(59/903c)対応経文:宋・求那跋摩譯《佛說菩薩內戒經》「三十九者,菩薩不得賣雞犬畜生。」(T24,p1029b)、同卷六《六度集經》第三卷音義「小𤛅:丑右反。」(59/764b)対応経文:呉・康僧會譯《六度集經》卷三「小畜貪生,寄命國界。」(T03,p0012c)等に用例がある。《考正》(211)参照。

【𤛄】20135 セイ 義未詳 〔五音篇海〕𤛄、音薺。
《新修玉篇》卷二十三《牛部》十畫引《類篇》 (191a)
  𤛄,音薺。
《篇海》卷三《牛部》十畫引《類篇》 (303d)
  𤛄,音薺。

 待考。「擠」が変化した字か。

【𤛀】20137 トク 義未詳 〔五音篇海〕𤛀、音特。
《新修玉篇》卷二十三《牛部》十畫引《類篇》 (191a)
  𤛀,音特。
《篇海》卷三《牛部》十畫引《類篇》 (303d)
  𤛀,音特。

 「𤛀」は「𤙰」が変化した字(篆書を楷書化した字)である。《集韻》入聲《德韻》敵德切「特犆𤙰,敵德切。《說文》:“朴特牛父也。”一曰獨也。或作“犆、特”。文十五。」(762)、「𤛀」「𤙰」は近形同音である。

【𤛝】20157 シユク 義未詳 〔龍龕手鑑〕𤛝、所六切。
《龍龕》卷一《牛部》入聲 (117)
  [⿱𪧐手],所六反。

 「𤛝」は「摍」の異体字である。《集韻》入聲《屋韻》所六切「摍,《說文》:“蹴引也。”一曰抽也。或書作“𢳔”。」(643)、「摍」はまた「𢳔」に作る。「𤛝」は「𢳔」の下部が変化した字である。《叢考》(463、465)参照。

【𤛖】20158 バウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤛖、莫交切。
《篇海》卷三《牛部》十二畫引《搜真玉鏡》 (304a)
  𤛖,麥交切。

 「𤛖」は「犛」が変化した字である。《廣韻》平聲《肴韻》莫交切「犛,牛名。又力之切。」(153)、「𤛖」「犛」は近形同音である。《龍龕》卷一《牛部》「𤚐[⿱敉⿸厂牛][⿱赦⿸厂牛]犛[⿱⿰未攴⿸厂牛]牦,六俗。[⿱⿰⿱止小攴⿸厂牛],今。𤛆,正。莫包反。《說文》:“―,牛也。”又力之反。亦牛也。八字。」(114)、《可洪音義》卷十五《根本說一切有部毗柰耶律》第五十卷音義「[⿱赦牛]牛:上莫交反,正作“〾犛”。」(59/1138c)対応経文:《根本說一切有部毘奈耶》卷五十《七滅諍法》「當共尊敬戒,如犛(聖乙本作“[⿱⿰未攵厂]”)牛愛尾。」(T23,p0905a)、「𤛖」と「⿱赦⿸厂牛」「⿱赦牛」はまた近形である。

【𤛚】20159 クワン 義未詳 〔五音篇海〕𤛚、呼闕切。
《新修玉篇》卷二十三《牛部》十一畫引《類篇》 (191a)
  𤛚,呼關切。
《篇海》卷三《牛部》十一畫引《類篇》 (304a)
  𤛚,呼関切。

 待考。「豩」の異体字か。

【𤛙】20160 テイ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤛙、音頂。
《篇海》卷三《牛部》十一畫引《搜真玉鏡》 (304a)
  𤛙,音頂。

 「𤛙」は「鼎」が変化した字である。《叢考》(171)参照。

【𤛜】20161 キヤウ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤛜、音姜。
《篇海》卷三《牛部》十畫引《搜真玉鏡》 (303d)
  𤛜,音姜。

 「𤛜」はおそらく「𤚖(㹔)」の加旁異体字である。《集韻》平聲《陽韻》居良切「㹔𤚖,《說文》:“牛長脊也。”或从“姜”。」(217)、「𤛜」「𤚖」は同音である。《叢考》(612)参照。

【犞】20175 音未詳 ほじし。 〔淮南子、泰族訓〕以奉宗廟鮮犞之具。〔注〕乾肉爲犞。
待考。

【𤛭】20176 グン 義未詳 〔篇海類篇〕𤛭、音羣。
《篇海》卷三《牛部》二十畫引《搜真玉鏡》 (304b)
  𤛭,音群。

 「𤛭」はおそらく「群」の会意異体字である。《叢考》(613)参照。

【𤛪】20178 キユウ 義未詳 〔五音篇海〕𤛪、香仲切。
《篇海》卷三《牛部》十二畫引《搜真玉鏡》 (304a)
  𤛪,香仲切。

 「𤛪」はおそらく「耄」の加旁異体字が変化した字である。「香仲切」は誤り。

【𤛷】20189 シヨク 義未詳 〔龍龕手鑑〕𤛷、音色。
《龍龕》卷一《牛部》入聲 (117)
  𤛷,俗。色、墻二音。

 「𤛷」は「牆」が変化した字である。《廣韻》平聲《陽韻》在良切「牆,垣牆。《爾雅》云:“牆謂之墉。”《說文》曰:“牆,垣蔽也。”在良切。十。廧,上同。墻,俗。」(176)、「𤛷」「牆」は近形同音である。S.388《正名要錄》「𤛷牆,二同。」とある。「音色=音嗇」は望形生音。

【𤛸】20190 アン 義未詳 〔字彙補〕𤛸、烏感切、音晻、見釋典。
「𤛸」は「𤜁」の訛字で、「𤜁」は切身字(音訳字)、無義である。

【𤜊】20217 カ 義未詳 〔五音篇海〕𤜊、音哥。
《新修玉篇》卷二十三《牛部》十六至二十畫引《類篇》 (191b)
  𤜊,音哥。
《篇海》卷三《牛部》十七畫引《類篇》 (304b)
  𤜊,音哥。

 待考。

【𤜓】20226 リヤク 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤜓、力却切。
《篇海》卷三《牛部》二十畫引《搜真玉鏡》 (304b)
  〾𤜓,力𨚫切。

 「𤜓」は「犣」が変化した字である。《廣韻》入聲《葉韻》良涉切「犣,牛牡。又旄牛名。」(539)、「力𨚫切」は「力劫切」の誤り。《考釋》(449)参照。

【𤜕】20229 ハ 義未詳 〔搜眞玉鏡〕𤜕、音覇。
《篇海》卷三《牛部》二十畫引《搜真玉鏡》 (304b)
  𤜕,音𧟳。

 「𤜕」はおそらく「霸」の異体字である。《篇海》卷十三《襾部》引《類篇》「[⿱覀拜],必嫁切。[⿰帝⿱覀礼],同上。」(493c、《新修玉篇》(140d)略同)、同卷十《西部》引《類篇》「[⿱覀⿰手䚴],音覇。[⿰⿱覀礼〾韋],上同。」(420a、《新修玉篇》(142b)略同)、「⿰帝⿱覀礼」「⿰⿱覀礼〾韋」と「𤜕」は近形同音である。《叢考》(862)参照。

【𤜘】20231 バン 義未詳 〔篇海〕𤜘、音蠻。
《龍龕》卷一《牛部》平聲 (115)
  𤜘,牟含反。

 「𤜘」は音訳字、無義である。《考釋》(449)参照。

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