「略字」とは、「異体字のうち、簡単なもの」である。
「異体字のうち、簡単なもの」であっても「略字」と言える場合と言えない場合とがある。
例として、「廣」と「広」と「广」について考える。「「広」は「廣」の略字である」、「「广」は「廣」の略字である」ことには異論がないだろう。しかし、「「广」は「広」の略字である」というと違和感があるのではないだろうか。これは、歴史的経緯を考えた時に、「广」は「広」からできたわけではないからである。ただ、「体」も「體」からできたわけではないが、「「体」は「體」の略字である」とはいえる。「体」の歴史的経緯は「體→軆→躰→体」であり、「體」と「体」は直接の関係がないが、一本の流れ上にある。これをいま直列的な異体字であるという。「广」の場合は「廣→広→广」ではなく「廣→広,廣→广」という経緯であり、並列的である。
「AはBの略字である」というにはAとBが直列的な異体字であることが条件だといえる。
また、「簡単なもの」というのはかなり主観的である。
「画数が減る」というのが典型的な例の一つでは有る。ただ画数が減らなくても罕用部件を常用部件に換えたものや、声旁をわかりやすいものに換えたものなどは画数が大幅に増えていなければ簡単になったといえるだろう。
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