2017/04/06

甲骨文字について その1 字体構造

漢字が誕生した時期は、紀元前2000年頃と推定されるが、資料が少なく正確な時期は明らかでない。現在確認できるまとまった漢字資料のうち最も早いものは、殷代後期(紀元前1200年頃)の甲骨文である。当時は、亀甲・獣骨を利用した占卜が政治に利用されており、その記録が刻まれているのである。このほか竹簡あるいは木簡にも書写していたのであろうが、腐食により現在は残っていない。また陶磁器や青銅器にも文字が確認できるが、文章と呼べるほどのものは少ない。

甲骨文における字体構造

甲骨文の字体構造をいくつかに分類する。分類方法はいくらでもあるが、まず大きく独体字と合体字に分けられる。独体字はそれ以上分解できないもの、合体字は独体字・合体字を2つ以上組み合わせたものである。合体字における偏旁の役割には「形・音・義・示」の4種類が存在すると考える。形旁は字中においてその物体を直接表す。音旁は字音を表す。義旁は字義を表す。示旁は字中において記号的な役割を担う。この4つが組み合わさるので合体字は16種類に分類することができるが、いちいち羅列すると長いことや分類が難しいものもあるので、ここではそれを統合整理したものを示す。


独体象形字

表示物そのものを描いたものである。「人」「木」「月」などなど。
権威の象徴である鉞を描いて「王」を表すように、表示物を直接描かないものもある。
「小」は小さいもの、「三」は横棒3つ、これらは具体的に存在する物体ではなく抽象的なものを描いている。

合体象形字(会形字)

複数の象形字を組み合わせ情景を描くことで、複雑な事柄を表したものである。
例えば、人が木の下で休んでいるさまを描いて「休」、木がたくさん生えているさまを描いて「林」といった具合である。

会義字

複数の字を組み合わせて、その意味から事柄を表すものである。
例えば、「員」は鼎の上に球体が載っている象形ではなく、丸い物同士を組み合わせて「円」を表している。「赤」を表すのには大きい火を示している。

標示字

象形字の一部分を指し示すことによりその部位を表すものである。
「亦」は人の立ったさまである「大」の脇の部分を示している。「刃」は刀の刃部を丸で示している。

形声字

音を表す声符と意味を示す意符からなる字。
「雀」は「小」のうち鳥に関係するものを表し、これは意符が後から加えられたものと考えられる(標義形声字)。
一方「鳳」は鳥の象形に、あとから同音である「凡」が意味と関係なく加えられたものと考えられる(標音形声字)。

合文

二字以上からなる言葉をそのまま組み合わせて一字にしたもの。
先祖の名前や数字などに多い。「百」「千」などもこれに分類できよう。

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