2016/03/21

《漢辞海》中の難字

《漢辞海》のような一般的な小型~中型漢和辞典には疑難俗字はふつう収録されない。
《漢辞海》では「常用漢字+人名用漢字+JIS1~4補+α」を収録基準にしているようなので、難字(音義が欠けた字)を収録する必要もないし理由もない。
だが、和製漢字と衝突している別の字があった場合はその字が義未詳であっても収録しているようだ。

ざっと確認した所、以下の18字を発見した。











𥞩
𥸮
𥹖

𨉷
𨛺




CJK-Fと《中華字海》

CJK-Fのうち《中華字海》に収録されているものを書きだした

部首1画~2画のみ
誤りや抜けがあったらコメントください

2016/07/14 口部12画(2d2c1)まで追加



コード番号,《字海》ページ数(abcは段落)
2ceb5,1c
2cec3,4c
2ceeb,9b
2cf0c,20c
2cf29,508a
2cf2a,114b
2cf35,321b
2cf3a,973a
2cf44,131b
2cf49,132a?
2cf54,136b
2cf5d,141a
2cf64,65b
2cf67,66a
2cf6c,68a
2cf6d,68a
2cf7c,71b
2cf7e,73a
2cf7f,73a
2cf81,73c
2cf83,73b
2cf89,74c
2cf8c,75c
2cf95,103c
2cf97,76c
2cfa2,80c
2cfa8,80a
2cfcf,87a
2cfdc,89a
2cff5,92b
2d000,94b
2d002,94c
2d012,97c
2d026,707a
2d046,112c
2d049,113c?
2d061,4c
2d062,4b?
2d066,63b
2d068,63b
2d07a,152a
2d08a,146a
2d098,147c
2d0a2,149a
2d0c4,31a
2d0c5,50a
2d0c6,50a
2d0cc,189b
2d0e1,982b
2d0ed,54b
2d0fa,56a
2d116,60a
2d11b,60c
2d129,196a
2d12b,196a
2d12d,196b
2d136,197a
2d138,197c
2d13a,197c
2d13f,198b
2d143,198c
2d147,127c
2d152,1284b
2d153,125b
2d15b,46a
2d172,154a
2d175,798b
2d183,36b
2d186,37c
2d187,37b


2d1b8,380c
2d1b9,99c?
2d1ba,381b
2d1bc,381b
2d1c2,382b
2d1c5,383c
2d1d4,387c
2d1eb,392a
2d1f6,393c
2d1f9,395b?
2d206,395b
2d20c,398a
2d211,399b
2d21b,399c
2d222,392b
2d23b,403c
2d23d,409b?
2d24b,410b?
2d24c,401b
2d25e,402b
2d268,409b
2d26e,410c
2d277,406b
2d283,411c
2d294,413c
2d295,414b
2d29b,414b
2d2b4,417b
2d2b5,417b
2d2be,419a
2d2bf,419a

2016/01/17

字典類の紹介8《秦簡牘文字編》

方勇 編著 (2012/12) 《秦簡牘文字編》 福建人民出版社

160117_1.jpg
どちらかというと薄い。

160117_2.jpg
 本書は戦国・秦の簡牘の字を字種毎に配列したものである。各字形は図版をコンピューター処理したものである。ただし字形がわかりにくいもののみ図版写真あるいは模本を載せている。
 各字形には出典が付してある。通仮字の場合はその旨が併記される。一部の字には注釈が有り、巻末にまとめてかなり詳しく書かれている。
 配列は説文順。卷一~卷十四の後に合文・附録(隷定不可字)がある。巻末に筆画索引と釋字輯要(注釈)がある。
 睡虎地秦簡以外の字(龍崗、關沮、嶽麓など)を収録している点で《秦簡文字編》《睡虎地秦簡文字編》などより優れている。特に張守中《睡虎地秦簡文字編》は模本(しかも似てない)なのであまり使いものにならない。
 値段は168元(3000円)、日本で買うと9000円くらい。

2016/01/16

字典類の紹介7《上博藏戰國楚竹書字匯》

饒宗頤 主編、徐在國 副主編 (2012/10) 《上博藏戰國楚竹書字匯》 安徽大學出版社

160116_1.jpg
なかなか厚い。ちなみにページの紙一枚は薄い。

160116_2.jpg
 本書は《上海博物館藏戰國楚竹書》(一)~(七)の字を字種毎に配列したものである((八)、(九)の字は収録していない)。各字形は図版をコンピューター処理したものである。ただし字形がわかりにくいもののみ図版写真をそのまま載せている。
 各字形には出典が付してある。出典は数字で表されているので凡例にある対応表をいちいち見なくてはならない。
 配列は康煕をもとにしたオリジナルの部首筆画順なので直接引くのは難しい。一部~龜部のあとに待識字(隷定不可字)、殘字(字形が不鮮明な字)の項目がある。巻末に筆画索引・拼音索引・おまけの論文が二篇ある。
 《楚系簡帛文字編》(上博楚簡(一)、(二)の字を収録している)と比べると、字形が正確である分優れているが、釈文が載っていないことが欠点である。また、(六)・(七)の字が収録されている点を除けば《上海博物館藏戰國楚竹書(一-五)文字編》のほうが、配列が説文順である、《香港中文大學文物館藏簡牘》の字も収録している、文字だけでなく記号(句読点や卦畫)も収録している、各字形が簡内の何文字目かが付記してある、同一字種内を字体毎に分類している、一部の字形に軽い解説がある、巻末に総釈文が載っている、等の点で優れているといえる。
 値段は228元(4000円弱)。日本で買うと10000円くらいか。

字典類の紹介6《三晋文字編》

湯志彪 編著 (2013/10) 《三晋文字編》 作家出版社

160115_1.jpg

六分冊。かなり場所をとる。



160115_2.jpg
 本書は春秋・戦国時代の三晋系文字(趙、魏、韓、中山、両周、鄭、衛といった国で使われていた字)を字種毎に配列したものである。各字形は拓本・あるいは写真をそのまま切り貼りしたもの(ゴミ取りはしていない)。一字一字が大きいのでわかりやすい。
 各字形には出典・釈文・国・時代が付してある。同一字種内は石器・銅器・兵器・璽印・陶分・貨幣・雑器の順に、同一材料内は国順、同一国内は時代順に配列されている。
 配列は説文順、卷一~卷十四のあとに合文・附録(隷定不可字)がある。また巻末に資料来源及釈文・部首筆画索引・拼音索引がある。附録は索引からは検索不可能である。
 一字一字が大きいだけでなく、収録範囲もかなり広い。また各字形に釈文がついているだけでなく、最後に出典とした器物全ての釈文が載っているので字形をみること以外の用途にも使える。
 値段は3650元(約65000円)、日本で買えば10万円台になる。
 ちなみにこの本は《國別文字編》シリーズの一番目として出版された。現在は二番目の張振謙《齊魯文字編》、三番目の劉孝霞《秦文字編》も既に出版されている。いずれも六分冊である。
 《齊魯文字編》は西周~戦国時代の齊魯系文字(魯、邾、郳、滕、薛、費、曹、郜、杞、齊、逢、邿、鑄、戴、鄩、過、萊、紀、㠱、諸、莒といった国で使われていた字)を収録している。附録と釈文の間に《齊魯文字字形差異表》という章があり、齊魯系文字をさらに分け、齊莒系文字と魯邾系文字の字体の違いが解説されている。

2016/01/11

字典類の紹介5《先秦貨幣文字編》

呉良寶 編纂 (2006/3) 《先秦貨幣文字編》 福建人民出版社

160111_1.jpg
めっちゃ薄い。

160111_2.jpg
 本書は春秋・戦国時代の貨幣銘文を字毎に配列したものである。各字形は拓本・あるいは写真をそのまま切り貼りしたもの(ゴミ取りはしていない)。
 本文のデザインはおおむね《古幣文編》を踏襲している。各字形には貨幣の種類・釈文・出典が付してある。同一字種内は貨幣のおおよその時代順に並んでいる。
 配列は説文順、卷一~卷十四のあとに合文・附録(隷定不可字)がある。また巻末に筆画索引がある。附録は索引からは検索不可能である。
 《古幣文編》をもとにしているので基本的に《古幣文編》よりは優れている。しかし《先秦貨幣文編》よりは一字あたりの字例が少ない。ただ貨幣の種類が記載されておらずまた出典がわかりづらい《先秦貨幣文編》と比べると、総合的な貨幣写真集を出典とする本書は字体と貨幣の種類との関連付けがしやすいといえる。
 値段は98元(2000元弱)、日本で買うと6000円くらい。

字典類の紹介4《古陶字録》

高明、涂白奎 編著 (2014/9) 《古陶字録》 上海古籍出版社

160110_1.jpg
わりと薄い。



160110_2.jpg
 前の記事の《陶文字典》同様、陶文の字書である。《陶文字典》と異なるのは、各字形がコンピューター処理(ゴミ取り等)後に白黒反転したものになっている点である。また、戦国・秦代に限らず商・周代の陶文も収録している。出典は《古陶文彙編》が中心だが《陶文圖録》ほか多くの拓本集から収録している。
 各字形には出土地・出典・時代が付してある。出土地はどの国で用いられた字体なのかの手がかりとなるのでありがたい。ごく一部の字には軽い解説がある。
 この字書は左ページから読むようになっている(珍しい)。配列は第一編「單字」は康煕字典順に近いがよくわからない順番になっている。第一編のあとに第二編「合文」・第三編「附録」(隷定不可字)がある。巻末に筆画索引がある。第三編の字は検索不可能。
 薄さからわかるように字例はかなり少ない。「きれいな字が見られる」という点がこの字書の利点だろうか。
 値段は148元(3000円弱)、お手頃価格だ。日本で買うと8000円くらい。